日経平均ついに1万円台 セリングクライマックスと騰落レシオ

投売りと戻り期待の押し目買い。

大暴落を好機と為す。

機関投資家のストップロスに加え個人の投売りがもたらす下落スパイラル

恐怖が生む負の連鎖。

経験則上もっとも買いたくないときこそが絶好の買い場。

ただ、本日の相場を見ていて感じたことは過去の大暴落とやや趣を異にするということ。

本日の日経平均株価は実に前日比で465円安と大幅続落。

終日断続的な売りからついに10,500を割って取引を終了。

日経225先物は510円安の10450と指数とともにほぼ安値引けです。

セリングクライマックスとなるには大きな出来高が必要ですが、本日の先物の出来高は18万枚

平時に比べれば大きいものの、特筆する程でもなく、いまひとつパンチが足らないといったところでしょうか。

昨年8/17に大暴落した際は26万枚の大商いだっただけにパニック売りと呼べるか微妙なところです。
相場はいつまでも下げ続けることはなく、必ず底打ちがありますので、買い方の投げが出尽くした後の自律反発を期待し手薬煉を引いている投資家も多いことでしょう。

先日来、騰落レシオ(25日間)は60台に突入

連日の下落により本日ついに25日騰落レシオは63.35を記録

騰落レシオは、市場の過熱感を見る指標の中で最も有名な指標です。

信用評価損率とともに長期投資する上でお馴染みの指標ですね。

「値上がり銘柄数÷値下がり銘柄数」から算出し%で表します。

特に多く用いられるのが「5日騰落レシオ」や「25日騰落レシオ」です。

5日騰落レシオ=5日間の値上がり銘柄数の合計÷5日間の値下がり銘柄数の合計

25日騰落レシオ=25日間の値上がり銘柄数の合計÷25日間の値下がり銘柄数の合計

5日レシオは短期的な過熱感を、25日レシオは中期的な過熱感を判断する指標とされています。

特に25日騰落レシオは株式情報のテレビ番組において毎日の大引け解説にも出てきます。

これが60%未満になればかなり安い水準といえ、絶好の買い場と判断されます。

また150%超となるとかなりの過熱とされ買いは危険と判断されます。

この経験則によると現在の63%という数値は相当な安値水準にあるといえます。

では60を割るまで待てばいいかといえばこれもなかなか難しく、60%割れや150%超というのは過去数年に一度しか発生しておりません150%超というのは、1998/2/12まで遡らないと記録がない程の稀な現象といえます。

この数日間、大幅下落する中で注目される騰落レシオ60%割れというのは2000年以降でたった1度しかありません

2001年9月12日 9610.10 -682.85

そう、いわゆる「9.11事件」、米国同時多発テロのあった日の翌日です。

その後の推移としては、暴落直後に底打ちはせず、数日後の9/21に9,382円の安値をつけた後トレンドが反転しています。

このとき総悲観の大暴落から更に200円以上も下げた後にようやくの底打ちだったわけです。

もっともこの騰落レシオによる逆張りも当然絶対ではありません。

今回過去の大暴落と違う雰囲気が漂うのはなぜかということです。

このままの事態が推移すれば近く反発も期待できそうですが、仮に底打ちしても一時的な戻りと割り切って波に乗る必要があります。

20010912同時多発テロ

20070817サブプライムショック

9.11事件のときも、昨年のサブプライムショックも底打ちした後には確かにトレンド転換を果たしていますが、それは一時的なものに止まりその後の日経平均株価は周知の通り、2002年から2003年にかけて高度経済成長期以降の歴史上では未曾有の安値である7000台に突入。昨年のサブプライムショック後の反転もわずか底打ちから3ヶ月ほどで再び安値を更新しているからです。

今回の暴落も先の2例と同じく米国発によるもの。

この局面を打開するためには国家レベルでの対策が必要でしょう。

麻生太郎首相は本日午後の衆院予算委員会において公明党北側幹事長の質問に対する追加経済対策についての答弁中、日経平均株価の10,500割れについて言及。

「こういった状態はかなりの事態になってきている。然るべきことが必要と判断するのであれば、それなりの対応は当然のこととしてさせていただく」と述べています。

選挙のことで頭がいっぱいでしょうが、「かなりの事態」という言葉の是非はともかくとしても、早期かつ具体的な対策が期待されるところです。

現在の安値水準、少しずつ打診買いを試したいところですね。

駄目ならもちろん即時ロスカットで問題なし。

ファンドや比較的大きな資金を保有している投資家などは今の相場を好機と見ているに違いないでしょうが、考えることは同じで、どこまで戻りを期待できるか見通しはかなり不透明ですので今回ばかりは慎重な判断が求められそうです。

ただ勝つのはいつも誰も買いたくないと思える時に行動に出た投資家だけだというのは歴史が証明しているところですが。