WBC優勝と日経平均株価

アメリカでのWBC(ワールドベースボールクラシック)の認知度はとても低いのですが、日本では連日大盛況。
注目のWBC決勝は日本VS韓国が5度目の激突。
大接戦の末5対3で日本が勝利しV2連覇を達成。
アメリカ、キューバに勝利しての文句なしの優勝。
日本中が勝利に酔いしれました。

冒頭のイチロー選手のヒットに始まり、小笠原選手の先制打。
中島選手のレフト前へのタイムリー、そして岩村選手の渋い犠牲フライ。
岩隈投手の好投もあり、追われつつもなんとか日本がリードしていましたが、わずか1点差での攻防。

試合が鬼気迫る後場の値動きは、わずか20円値幅の横ばい。

相場どころではないトレーダーたちは文字通り釘付けだったのでしょう。
日本人がここまで心をひとつにできるのはオリンピックくらいなもの。
米大統領選挙のようなナショナリズムは日本人には味わえないのだろうと思っていましたが、それに近い団結力といいますか愛国心を呼び覚ますものでした。

2009年3月24日WBC優勝と日経平均株価

この思いは市場関係者も例外ではなかったようですね。

丁度ダルビッシュ投手が2連続4ボールを出し、痛恨の同点打をくらった9回裏。
日経平均は安値圏。
歓喜が悲鳴に変わり、日本人の心は折れかかり諦めムードが漂う中、直後の延長10回表、まさに劇的ともいえるイチロー選手の2点タイムリーで再び逆転。
日本の優勢が確実視されるにつれ日経平均株価は急速反転をはじめました。
金メダル授与の14:50頃には本日の最高値となる8504.41(日経225先物は8460円)を記録。

昨日のNYダウが「不良資産買い取り計画」の詳細が示されことを受けて今年最大の上げ幅を記録する500ドル近い大幅上昇をした翌日でもあり、序盤は反動安の展開でした。
寄り天基調で前場から失速していた日経平均はこのニュースのおかげか結局大幅高で本日の取引を終了しています。

非常に興味深いですね。
半分以上を外国人投資家が占めるといわれる日本市場でこのような値動き。
これこそまさに「ご祝儀相場」といえるかもしれません。
ありふれた言葉では語りつくせない選手たちの苦悩やプレッシャーによる重圧からもようやく解放され、試合後のシャンパンファイトで子供のようにはしゃぐイチロー選手の笑顔を見ると日本人であれば誰もが感情移入してしまうのではないでしょうか。

侍JAPAN。
「侍」=”SAMURAI”は時に日本の歴史と日本人の勤勉で謙虚な気質を凝縮した形でしばしば日本人の代名詞となることば。
原監督は今回のWBC監督就任に際し自らの名を冠した呼び方をせず他のネーミングを希望したと聞きます。
従来の報道の慣例からすれば「長嶋JAPAN」、「王JAPAN」、「星野JAPAN」でしたから今回も当然「原JAPAN」となるはずです。
しかし原監督は「まだ自分は歴代のこの人たちには値しない」と考え、コミッショナーや球団関係者に別の呼び方をお願いしたそうです。そして名づけられたのが「侍JAPAN」。原監督はこの名前をとても気に入り今回の大会にのぞんだといいます。

世界ランク1とされるキューバに対しては15日(6-0)、18日(5-0)と2度も大差で勝利したにも関わらず会見では勝ち誇った態度は一切なく「尊敬するキューバ」に勝ててよかったと終始謙虚なコメント。キューバのカストロ議長は対戦前に「日本は時計のように精密だが勝機はある」というコメントを残していたそうです。
Winner、Loserともに称え合う心を持ち、互いに敬意を払っている姿は美しいと思いますね。
戦後の焼け野原から高度経済成長を遂げた日本の底力はこの日本人気質に通じるところがきっとあるに違いありません。

Lighting Schedule 3.24.2009 Empire State Building

Empire State Building/Lighting Schedule
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追記:
主催国のアメリカにとってはまたも思惑がはずれ他国が優勝をさらったことになってしまいましたが、エンパイアステートビルには日の丸色のライトアップが施され、日本の健闘を称えています。

原JAPAN。
おつかれさまでした。感動をありがとう。