日経平均株価バブル後最安値更新 メガバンクの増資観測とストップ安

日経平均株価がついにバブル後の最安値を更新。

日経平均株価 7,162.90円 (-486.18) 15:00
日経平均先物 7,160円 (-460) 15:10

日本発の株安でないのにも関わらず今月に入ってからの下落率は先進国で最大。
9月末と比較すると、日経平均下落率は31.8%で米国株や欧州株の下落率を大きく上回っています。

2008年10月27日日経225先物大証30日間

ここにきて日本の政治家のコメントにようやく緊迫感が出てきたようです。

本日発表された政府の株式への緊急対策は以下二点。
金融庁が空売り規制強化を決定

■11月4日から株の手当がされていない空売り(ネーキッド・ショート・セリング)を禁止
■11月中旬を目途に発行済み株式総数の原則0.25%以上の空売りポジションの保有者に証券会社を通じて取引所へ報告することを義務付け、取引所はこの情報を公表

空売り規制をしていなかった日本がようやく重い腰を上げたようですが相変わらずタイミングが悪いようです。正直いまさらという印象。
電光石火、果断速攻と呼ぶにふさわしい政治家はどうやら日本にはいないようです。
これでは支持率低迷はいうに及ばずといったところでしょう。
どうもピントがずれていますね。
はたして実効性あるのでしょうか。空売り対策も必要だとして、それ以上に海外ファンドによる換金売り、実弾売りが止まらない現状をどう切り抜けるか明確なビジョンは見えません。
空売り規制もなぜ11/4なんでしょうか。
即日実施でないというところはKY政治とのそしりを免れません。

しかしこの発表とは裏腹に本日下げている実際の理由は売りヘッジの需給面もそうですが、何よりも昨日報道の某メガバンクの増資観測でしょう。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が最大1兆円の増資を検討というあの報道です。
当然三菱UFJだけでなく増資による希薄化リスクは他行にも広がる恐れがあり、この観測がその他のメガバンクにも波及し銀行株の軒並みストップ安を引き起こしています。

突然のMSCB(*)や増資の発表は個別銘柄の宿命ですが、「まさかあの銀行はつぶれないだろう」と銀行ならば安全と信じられている人気の銘柄でこれが発表されると歴史上決まってパニックが起こります。
*MSCB=moving strike convertible bond (転換社債型新株予約権付社債)

5年前のみずほの1兆円増資はそれほど昔のことではないのでご記憶の方も多いでしょう。
丁度あの頃、日経平均株価はバブル後最安値を、みずほFGは5万円台までの落ち込みを記録しています。当時は多くの企業による増資の引き受け手があった為、危うく国有化される難を逃れ危急を脱しており、その後トレンドが転換した上昇相場ではみずほも100万円を超えるまでに上昇。
一大株式投資ブームが巻き起こりました。
しかし今回の金融危機でも同様に救われる保証はどこにもありません。

日経平均も日経225先物も丁度あの頃に里帰りするように本日寄り付きでついにバブル後最安値更新
遡る事1982年10月以来の安値水準にまで売られています。
一方メガバンク株はいずれも当時よりもまだ高い水準です。

みずほFG(8411)はストップ安で張り付き230,000円 (-40,000円/-14.81%)
三菱東京UFJ(8306)も同じくストップ安となり583円 (-100円/-14.64%)

8411みずほFG 2008年10月27日

8306三菱UFJ 2008年10月27日

これを安いと言っている投資家が多いですが非常に危険です。
むしろ金融株だから危ない」という視点が根付かないのは仕方がないのかもしれません。
実際今回もリターンを狙って安値を拾おうとしている個人投資家も多いことと思います。
しかし、逆に言えばだからこそセリングクライマックスの実感がまだわかないのかもしれませんね。

最近銀行ではここ数日の歴史的な円高を背景に急速に外貨預金の口座開設が増えているようです。
私自身銀行の窓口の様子を見て大変驚きました。
この混雑は月末だからという理由だけではないようです。
行員によれば月末要因だけでなくこの外貨預金口座開設希望者で超満員とのこと。

外貨預金は確か預金保険制度保護対象外だったはずですが。

「まさか銀行がつぶれるわけがない」といったところでしょう。
「もし銀行がつぶれたら」という想定を全くしない前提だからです。
しかし米国ではその「まさか」が立て続けにおきています。
銀行の取り付け騒ぎがもし起こったときの対策マニュアルは今はどうなっているのでしょうね。
取り付け騒ぎ、破綻、ペイオフ発動、預金は1000万円までしか保護されないなどなどちょっと考えればいつ起こってもおかしくないことが決して起こらないものと信じられているのが不思議です。

呑気ではなく逞しいというべきか、はたまた貪欲というべきか。
地域にもよるのでしょうが、まだ楽観的で余裕がある投資家が多いようです。
悲観的な報道や記事とは裏腹に街の人々は現在の相場を一時的なオーバーシュートとして冷静に見守っているという証拠でしょう。
つまりまだまだこのような楽観視する市民や投資家が多い現状では本当の意味の「悲観の中に生まれる上昇相場」は当分先かもしれません。
銀行の窓口が楽観の面持ちで賑わっている限りは。

日経平均が安値更新といっても銀行株の底値は未知数です。
いずれにせよ、当面は1000万円以下に分散し静観がベストかもしれません。

ウォーレンバフェット氏 自分は米国株を買っている “Buy American, Buffett Says. He Is.”

かの米国著名投資家ウォーレンバフェット氏がニューヨーク・タイムズ紙に寄稿し、自分は米国株を買っているとが明らかに。

Buy American,Buffett Says.He Is.

Buy American, Buffett Says. He Is.

The New York Times  October 17, 2008, 8:07 am

Buy American. I Am.
By WARREN E. BUFFETT

“A simple rule dictates my buying: Be fearful when others are greedy, and be greedy when others are fearful.”
「買うルールは単純。他の投資家が貪欲になっている時に恐れ、皆が恐怖を感じている時に強欲になることだ。」

今「日本を買え」といえるかはまだ疑問ですが、現実に今買えば数年後には2倍になっているとして喜んで買う個人投資家も多いです。
考えることは皆同じですね。

証券会社の口座開設もここにきて増えてきている現状からするとまだ市場は楽観の中にあるのかもしれません。
相場はゼロサムゲームですから、このように多くの投資家が考えている時点ではまだ下落リスクは潜んでおり依然予断を許しません。

相場は昔から「悲観の中に生まれ、懐疑とともに育ち、楽観の中に消えていく」といわれます。

現在の日本の株式市場はどうでしょうか。
上昇相場における楽観ではないですが、報道されている程に悲観もされていません。
どちらかというと懐疑でしょうか。
この相場格言にあてはまるかどうかですね。

短期売買ではあまり関係のないことですが。

随分涼しくなりすっかり秋ですね。
体調にはくれぐれもご注意下さい。

歴史的大暴落~目先反発 日経225に連日のサーキットブレーカー発動

ブラックマンデー以来の大暴落から一転昨日のニューヨーク市場は1993年来過去最大の11.08%の上昇率を記録
史上最大級の暴落から数日後、史上最大の暴騰。
歴史を見ればわかりきっていることを人間は繰り返してしまうもの。
安易なテクニカルや相場観は通用しません。
よくある超大幅な暴落時に見られる追証売りに加え、機関投資家などのやむにやまれぬ売りオーダーが一斉に集まり市場はオーバーシュート。
理屈ではない売りが売りを呼び世界の金融市場で軒並み年初来安値を記録。
本日はその反動で大幅高と金融市場未曾有の急激な値動きが続いております。

この激動の1週間もリスクマネジメントさえしっかり行っていれば全く問題なく、今回の暴落暴騰劇は日経225トレーダーにとって非常に大きなチャンスだったともいえましょう。
もっとも前代未聞・未曾有の暴落だっただけに、ただ何もせずみているだけだった方も多いとのことで結果それが最大の利益につながることも否定できません。
余裕資金の方は冷静沈着に段階的に安値を拾ったり、アービトラージでリスクを限定し裁定を狙うなどいくらでも好機があったことでしょう。
特にNTスプレッドなどは片張りポジションで持ち越しするスペキュレーションに比べてかなりのリスクヘッジができたはずです。
史上最大規模のギャップも恐ろしくありません。

先週金曜日と本日2営業日続けて先物市場は歴史的超大幅ギャップ
注文が殺到し連日にわたり日経225、トピックスともにサーキットブレーカーが発動
個別銘柄ではなく日経225先物など指数先物で発動されたことに事態の深刻さがうかがえます。

サーキットブレーカー2008年10月10日と10月14日の値動き

2営業日連続のサーキットブレーカー発動。
10/10 未曾有の1000円ギャップダウン
寄り付き直後09:08にサーキットブレーカーが発動し先物取引停止。15分後の09:23、8070円で取引再開。
10/14 本日は1310円のギャップアップ
寄り付き09:10と同時にサーキットブレーカーが発動。15分後の09:25、9,290円で取引再開。

2営業日連続のサーキットブレーカー発動

週末開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議において合意された公的資金注入の実施段階で遂に動意づいたことになります。先日の主要中銀による強調利下げが材料視されなかっただけにほっと胸をなでおろした市場関係者も多かったものと思われます。
銀行間取引の政府保証、主要銀行への公的資金注入など世界が国家規模で協調して一連の金融不安の沈静化を図ったことでようやくマーケットが反応。
鍵はやはり公的資金。

公的資金という血税を民間企業に入れることは反感が根強いものがあります。
諸手を挙げて喜ぶべきではないでしょうが、日本のバブル処理の経験を生かし早期に事態を収束させるよう各国政府に期待してやみません。ただ実際は日本が十数年かけてきたものだけに見通しは決して明るいものとはいえません。
日本がこの失われた10年の間、段階的に小出しにしてきた膿を今回は米国中心にドラスティックに切り捨てているだけに、市場に与える傷は大きいかもしれませんが、早期に膿を出し切ることでより早い回復を期待したいところです。

今週は欧米各国の金融機関の決算が続きます。
当面の打開策を見出し市場もこれに応えた格好ですが、これが文字通り目先になるのか、底打ちになるかは誰にもわかりません。

“GET USED TO IT.”

先日のWSJの見出しにありましたが、この一連の値動き、慣れろといわれても慣れるレベルを超えたほどかつてないほどのものでした。しかし、リスクマネジメントと持ち越ししない短期トレーディング、アービトラージでの大局的なディーリングを旨とすれば決して世間で言われるほどに恐ろしい事態ではないと思われます。

世界恐慌。
歴史の教科書の世界だった状況が現実のものとなろうとしていた矢先だけに冷静沈着な行動が依然求められるでしょう。米国の政策にまだ不透明要素があるだけに一抹の懸念を隠しきれません。

日経平均ついに1万円台 セリングクライマックスと騰落レシオ

投売りと戻り期待の押し目買い。

大暴落を好機と為す。

機関投資家のストップロスに加え個人の投売りがもたらす下落スパイラル

恐怖が生む負の連鎖。

経験則上もっとも買いたくないときこそが絶好の買い場。

ただ、本日の相場を見ていて感じたことは過去の大暴落とやや趣を異にするということ。

本日の日経平均株価は実に前日比で465円安と大幅続落。

終日断続的な売りからついに10,500を割って取引を終了。

日経225先物は510円安の10450と指数とともにほぼ安値引けです。

セリングクライマックスとなるには大きな出来高が必要ですが、本日の先物の出来高は18万枚

平時に比べれば大きいものの、特筆する程でもなく、いまひとつパンチが足らないといったところでしょうか。

昨年8/17に大暴落した際は26万枚の大商いだっただけにパニック売りと呼べるか微妙なところです。
相場はいつまでも下げ続けることはなく、必ず底打ちがありますので、買い方の投げが出尽くした後の自律反発を期待し手薬煉を引いている投資家も多いことでしょう。

先日来、騰落レシオ(25日間)は60台に突入

連日の下落により本日ついに25日騰落レシオは63.35を記録

騰落レシオは、市場の過熱感を見る指標の中で最も有名な指標です。

信用評価損率とともに長期投資する上でお馴染みの指標ですね。

「値上がり銘柄数÷値下がり銘柄数」から算出し%で表します。

特に多く用いられるのが「5日騰落レシオ」や「25日騰落レシオ」です。

5日騰落レシオ=5日間の値上がり銘柄数の合計÷5日間の値下がり銘柄数の合計

25日騰落レシオ=25日間の値上がり銘柄数の合計÷25日間の値下がり銘柄数の合計

5日レシオは短期的な過熱感を、25日レシオは中期的な過熱感を判断する指標とされています。

特に25日騰落レシオは株式情報のテレビ番組において毎日の大引け解説にも出てきます。

これが60%未満になればかなり安い水準といえ、絶好の買い場と判断されます。

また150%超となるとかなりの過熱とされ買いは危険と判断されます。

この経験則によると現在の63%という数値は相当な安値水準にあるといえます。

では60を割るまで待てばいいかといえばこれもなかなか難しく、60%割れや150%超というのは過去数年に一度しか発生しておりません150%超というのは、1998/2/12まで遡らないと記録がない程の稀な現象といえます。

この数日間、大幅下落する中で注目される騰落レシオ60%割れというのは2000年以降でたった1度しかありません

2001年9月12日 9610.10 -682.85

そう、いわゆる「9.11事件」、米国同時多発テロのあった日の翌日です。

その後の推移としては、暴落直後に底打ちはせず、数日後の9/21に9,382円の安値をつけた後トレンドが反転しています。

このとき総悲観の大暴落から更に200円以上も下げた後にようやくの底打ちだったわけです。

もっともこの騰落レシオによる逆張りも当然絶対ではありません。

今回過去の大暴落と違う雰囲気が漂うのはなぜかということです。

このままの事態が推移すれば近く反発も期待できそうですが、仮に底打ちしても一時的な戻りと割り切って波に乗る必要があります。

20010912同時多発テロ

20070817サブプライムショック

9.11事件のときも、昨年のサブプライムショックも底打ちした後には確かにトレンド転換を果たしていますが、それは一時的なものに止まりその後の日経平均株価は周知の通り、2002年から2003年にかけて高度経済成長期以降の歴史上では未曾有の安値である7000台に突入。昨年のサブプライムショック後の反転もわずか底打ちから3ヶ月ほどで再び安値を更新しているからです。

今回の暴落も先の2例と同じく米国発によるもの。

この局面を打開するためには国家レベルでの対策が必要でしょう。

麻生太郎首相は本日午後の衆院予算委員会において公明党北側幹事長の質問に対する追加経済対策についての答弁中、日経平均株価の10,500割れについて言及。

「こういった状態はかなりの事態になってきている。然るべきことが必要と判断するのであれば、それなりの対応は当然のこととしてさせていただく」と述べています。

選挙のことで頭がいっぱいでしょうが、「かなりの事態」という言葉の是非はともかくとしても、早期かつ具体的な対策が期待されるところです。

現在の安値水準、少しずつ打診買いを試したいところですね。

駄目ならもちろん即時ロスカットで問題なし。

ファンドや比較的大きな資金を保有している投資家などは今の相場を好機と見ているに違いないでしょうが、考えることは同じで、どこまで戻りを期待できるか見通しはかなり不透明ですので今回ばかりは慎重な判断が求められそうです。

ただ勝つのはいつも誰も買いたくないと思える時に行動に出た投資家だけだというのは歴史が証明しているところですが。