民主党新代表に野田氏 政権交代後3人目の総理大臣に

民主党代表選挙で新しい代表に野田財務相が選出されました。
明日の衆参両院で首相指名選挙を経て第95代の内閣総理大臣に指名される見通し。

小泉元首相の退任以降、自民党が党内選挙のみで首相を安倍、福田、麻生と3人も交替させてきたことをたらい回しと批判してきたのに、平然と同じ行為を繰り返す民主党。
しかも、自民党より性質が悪いのは、政策本位の選挙ではなく、国民無視の「小沢VS反小沢」かで代表が決まったこと。
終われば「ノーサイド」と言う野田新代表ですが、市場はこのリスクをまだ十分に織り込めていないようです。

午前中は11時からの代表選の行方を見極めようと方向感に乏しい展開でしたが、午後になると上昇幅を3桁に拡げ、日経平均株価は一時8,900円台に。
しかし、トップの海江田氏の票が過半数に届かず、決選投票にもつれ込むことが判明すると、午後1時半すぎから上昇幅を縮小。
増税を打ち出している野田氏が総理に就任するのは株価にとってマイナスと見られていただけに、市場のコンセンサスでは海江田氏で株価上昇、それ以外では下落との流れが支配的でした。
実際、決選投票が決まると債券先物が買われた一方で景気への悪影響が意識され株価は伸び悩みにつながりました。

組閣もまだですし、人事が決まらなければ何も始まりませんが、この新しいリーダーへの期待よりも市場は米国時間の材料にしか反応しない状態となってしまっています。
週末にはジャクソンホールでのバーナンキ議長講演を無事通過したことで、一旦はショートカバーの地合いですが、来月のFOMCでは追加の金融緩和は決まるかどうかは不明です。
ちなみに昨年のQE2の時はジャクソンホールから11月のFOMCまで時間が経過していました。

新代表選出後、日中と打って変わってナイトセッションに動きはありません。
ナイトセッション戦略でも指摘した通り、日本の政治体制などとは関係ないまるで異なる海外の力が働きますが、かえってこの分かりやすい「連動性」がチャンスに変わります。
相応の頭の切り替えが必要ですが、慣れれば逆に利用価値は大といえるでしょう。

S&Pが1ノッチ米国債格下げ 活況の様相を呈する日経ナイトセッション

S&Pの米国債格下げ以降、相場が大きく動いています。
リーマンショック以来のまさしく大チャンス到来といったところでしょうか。
まだ1ノッチだけなのにもかかわらず米国市場は8月8日に634ドルの下落、昨日8月9日には429ドル戻すなど大きな動きを見せています。
先日のFOMCの結果も“stand on your own”との言葉が物語るように長期的な低金利政策確約しつつもQE3には否定的な見解でサプライズの効果はありませんでした。
しかし、これらの思惑が交錯する中で、日経平均は大盛況。
大暴落と急騰を繰り返し数年前の高いボラティリティを取り戻しつつあります。

米国債が格下げされても根本的な財政問題を何ら解決しておりませんので、さらにマーケットは金融緩和を催促することになるでしょうし、それに失望すればさらに下落しそうです。
さらに米国債の格下げのみならず、仏国の格下げ不安も俄かに浮上してきており、南欧のデフォルト懸念も依然として払拭できていません。世界中で金融危機の火種が燻っている状態です。

日本の政治は相変わらず迷走。
菅総理の辞任が取り沙汰されていますが、民主党は解散もせず残り2年も消化試合を行うつもりのようですし、事態が良くなるとはとても思えません。
円高で高まる産業の空洞化。
海外へ流出する企業や人材。
ますます混迷の度合いを深めています。

個人的にはいずれリーマンショック以上の大きな金融危機が到来しなければ誰も目が覚めないのではないかと思います。
おそらくリーマンショック以来の安値を経験をしないと目が覚めないのかもしれませんね。
米国債を格付けしているのは米国籍の一民間会社です。
サブプライムローンの時に散々トリプルエーを与えてきた債券が片っ端から紙くずになってもまだ懲りていないんでしょうね。これだけ動いたということは。

まさに歴史の教科書に載るような世界恐慌がいつか来ると感じていますが、それが今年なのかもっと先のことなのかはわかりません。
リーマンショックの時の騰落レシオが55%以下まで進みましたので、この辺りが一応のセリングクライマックスになるかどうかの目安ですね。

強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていきます。

賢明な投資家が増えてきたのか不思議と暴落した今でも悲観はされていません。
個別株ならいざしらず、デリバティブであればむしろこの高ボラティリティで大きな利益を出している方が多いと思います。
サブプライムローン、リーマンショック、東日本大震災をくぐりぬけてきた投資家であればなすべきことは承知しているはずで、きっと粛々と準備を進めていることと思います。
短期でリスクマネジメントが万全であれば、現状はまさしく好機到来といえるでしょう。

さて、先月から時間延長されて名称も変更されたナイトセッションがここにきて活況の様相を呈しています。
出来高はそれほどでもないのですが、注目すべきは米国株式先物との精度の高い連動性と流動性、高いボラティリティです。
さすがに米国時間の大部分をカバーしていることもあり利用価値が高まってきました。

日経225 ナイトセッションにおける有効な戦略
詳しくはユーザー専用ページをご確認ください。

戦略シート:特記事項

NYダウが512ドル安とリ-マンショック後の2008年12月以来の下げ幅で返って来ています。
日経平均のGDは気配の段階ではかなり縮小されていました。

ユーザー専用ページにおける特記事項もあわせてご確認ください。

また、戦略シートを更新しました。
最新版をご希望の方はユーザー専用ページよりダウンロードしてください。
特に最近は最新版独自のロジックを適用するケースが多いですが、備考欄に判別基準をわかりやすくまとめています。

日銀が追加緩和を決定&政府は単独為替介入

金融政策決定会合で日銀が追加緩和を決定したようですね。
また日本政府が単独で為替介入を実施した模様。
NAVIで書いた9:30の海江田大臣の会見(経産次官人事)も同じタイミング。
材料豊富で珍しく見事な連携ですが、介入効果は限定的でしょう。
追加緩和に期待。

“Quantitative easing”の言葉に敏感に反応 過剰流動性が再び相場を引き戻すのか

連邦債務上限引き上げ問題が決着後も日本市場の場中のみわずかに反応しただけで、ダウは下落を続け8日続落となっていました。
実に8日続落は、金融危機直後の2008年10月以来2年10ヶ月ぶりのことで、8日間における下落幅は857ドル(6.7%)。昔なら大した値幅ではないですが、今のボタティリティを考えれば十分に衝撃的です。
リセッションへの懸念や米国債格下げを先取りした動きだったのかもしれませんが、この程度で格下げ懸念を織り込むには微妙なところです。
実質的には米国経済はすでに破綻しているといえ、景況感だけでは買えない状況。
もはや過剰流動性に望みをつなぐしかない中、ついにお待ちかねの量的緩和第三弾発動?
QE3の話は6月前に立ち消えになったはずですが、再浮上。
昨晩大幅下落していたダウが一気にプラスになって返って来ています。
欧米の報道では”Quantitative easing”の言葉にはやはり敏感な反応が見て取れます。

一方で日経平均は底堅く、何があっても反応に乏しい状態が続いています。
日銀のETF買い入れ枠がまだ十分にあり、買い入れ期待やらで相当下支えされているようであり、なかなか下落しません。
日銀は禁じ手をかたくなに封印する中、FRBのやりたい放題を見ているだけなのは歯がゆい限りです。

もし米国債が格下げされたら市場にどれだけの影響があるか

件の米国債デフォルト危機は水際で食い止められ一応の決着。
ようやく債務上限引き上げ法案が下院で可決されました。
上院は日本時間で明日3日の午前1時に採決され無事可決される見通しです。
当面の期限であった8月2日を事前の合意で乗り切り、無事デフォルト危機は回避されたかに見えます。
まさに土壇場での決着でまるでチキンレースを見ているようでした。

次に待っているのは「米国債の格下げ」問題です。

もし米国債が格下げされたら市場にどれだけの影響があるのでしょうか。

これが日本国債の格下げなら影響は限られています。
これまですでに日本国債は格下げされていますが、債券市場も株式市場も影響は限定的でした。
しかし米国債となれば話は別です。

日本国債のように9割以上を日本人が保有しているのと異なり、米国債は半分以上を米国以外の国が保有しています。
長年トップの格付けAAA(トリプルエー)を保持してきた米国債が仮にも格下げになったとあれば、その影響は計り知れません。

先日かの著名な投資家ジョージソロス氏がロイターのインタビューで米国債が格下げされた場合の金融市場への影響について消極的な見方を示していたり、一部のニュースでは日本の国債を引き合いに出して楽観視する見方すら出てきています。
しかし本当にそうでしょうか。

量的緩和第2弾(QE2)により米国は市場から巨額の米国債を買い入れ、ジャブジャブに資金を放出してきました。
つまり自分でドルを増刷してそのお金で国債を買い、市場を買い支え、遂には自国の最大の債権者になっているのです。
この空前の円高も当然の結果であり、FRBのやりたい放題のおかげでドルの価値を低下させ、信用を落としてまでも輸出力を高めようとしています。
このような無節操ぶりにもかかわらず、未だに米国債は格下げされていません。

これまで実際にS&Pやムーディーズがすでに見通しをネガティブに変えたと発表して警鐘を鳴らしてきたのは事実です。
それでも世界的な影響を考慮して実際の格下げには至らないままでした。

それが今回の債務上限問題によるデフォルト危機で俄かに現実味を帯びてきています。

さすがにこの連日のデフォルト危機で市場は悲観論を織り込み済みな面もあり、1ノッチ程度の引き下げ(AA+)ではパニックにはならないと思いますが、2ノッチ以上(AA)の引き下げがあれば大波乱が予想されます。

日本国債の格下げもまだ記憶に新しいですが、予想はされてはいたものの実際の引き下げのタイミングには疑問がありました。
この時の日経平均への影響は一過性のものでしたが、この手の発表は不意打ちが多いですので要注意ですね。
米国債の格下げによる金融市場への影響度は未知数ですので、いざ発表があった時、タイミングによっては債券市場でサーキットブレーカーが発動したり、連続ストップ安になることも予想されます。
しかし日経先物では逆にチャンスと言えそうですね。