損切り下手と勝ち組

マーケットにおける勝敗をニ分する損切り=ロスカットですがどんな売買シグナルや戦略よりも重要なものです。

トレードを開始する前に予め損切りするポイントを決めておき、機械的にこれに遂行できるなら何の問題もありません。
ただ人間とは難しい生き物でなまじ高等生物であるがうゆえのサガといいましょうか、難しいことを色々と考えてしまうものですね。
NYダウ平均やS&P500で猿にトレードさせてもプロと同等かそれ以上の成績を残すのではないかという話がありますが、案外、正鵠を射た比喩かもしれません。
貴方が飼われている忠実な愛犬の方がスーパートレーダーの素質があるのかもしれません。

しかしトレードを始めたばかりのトレーダーは損切りが重要だということは理解できても、実際にその局面になると実行する勇気が出ないのです。

「もう少し待てば反転するのでは?」

少しでもマイナスになったらすぐに損切りしようと意気込んだものの、いざ含み損を抱えると、
「どうせすぐに戻るだろうからトントンになってから売ろう」
と勝手に長期投資にスタンス変更。

逆に利益がでた場合は、
「すぐにマイナスになってしまうかもしれない」
と小利で決済。

昔から人間はそうなのでしょうか。

もうすぐ終戦記念日です。
いつの時代も人間は立場を違えども同じことを繰り返しているように思います。

戦時中の大本営発表もそうですが、臭い物には蓋をし、原爆で絶望の業火に見舞われてようやく終戦を迎えたように。

負けはイヤだと塩漬けにし、とどめの大暴落でようやくロスカット。
なんだか似ていますね。

本質的に人間はそうなのかもしれません。

ただこのような思考回路ではとてもシンプルに機械的に判断なんて、できるはずはありません。
負けを認めたくないがために、掲示板やマーケット情報を徘徊し現状を正当化する様々な理由を探し、少しでも有利な情報があればそれを拠りどころに損切りを躊躇してしまう。
そのうち株価は更に下落し、もはや手の施しようがない状態に。
どうしようもない状況まで追い込まれてからようやく絶望的な思いで手仕舞ってみるや、一転して反転上昇。

このような思考停止状態では結果、大底で投げる羽目になってしまうものです。

笑えない話ですが、相場から退場するパターンの大半がこのケースでしょう。

チャートでたびたび形成するこの大底局面を世に言うセリングクライマックスといいますが、このような投資家の悲喜交々が織り成す相場現象は現在も尚、度々起こります。

だからこそ通じる戦略もあるのですが、まず精神的なものを克服しておかないとこの世界では生き残ることは難しいと思います。

トレード手法以前の問題として、損切り上手であることが前提です。

「裁量では損切りを徹底すること」
「裁量で駄目ならシステムトレードで強制的にロスカットすればOK」

一般によく言われていることです。
はい、その通り。

本来はそれで話は終了です。
これを鉄の意志で実行できる者が勝ち組になることができ、できない者が負け組となる。
それがゼロサムゲーム

ただこれではあまりにも身も蓋もありませんね。
それが実は真理なのですが、世の中すべての方が強固な精神力をもちあわせているわけではないでしょう。

裁量では実際に注文をクリックする手が動かなければ意味がありませんし、システムトレードも一度大きなドローダウンがあるとその後も盲目的に信じて継続できるでしょうか。

損切り下手と勝ち組?

次期リリース版はまさに損切りの重要性は十分に理解しつつもどうしてもロスカットに躊躇したり、突発的に大きな値動きがあると動揺してしまうという方でも勝ち組になることが可能であるように異なったアプローチができればいいですね。